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“ジャーーーン!”
いきなり、勇者の前にスライム達(五匹)が現れた!
「おい! ここを無事に通りたければ、いくらかお金を置いて行きな!」
「…………」
勇者は黙っていた。
「おい! 勇者、聞いているのか!」
勇者は、
「ネェ、どうして僕が勇者なんだ!」
スライム達は顔を見合わせた。
「そんな事、俺達が知る訳ないだろう!」
「知らないのに僕を勇者て呼んだのか?」
「だって…次に、ここを通る奴が勇者だって聞いたから…」
「誰に聞いたんだ!」
スライム達は困った顔で…
「誰って? それは…その…天の声だ!」
「天の声って…なんだ、それ?」
「俺達もよく知らないが、天の声が色々考えてくれるんだ!」
「色々って?」
「色々は色々だ! お前がここを通る事も、お前が勇者だって事も、天の声が教えてくれた!」
「僕は天の声なんて知らないぞ!」
スライム達は困った。
「お前、天の声聞いた事ないのか?」
「あぁ、聞いた事ない!」
「あぁ~あ、やってられないな!
だってそうじゃないか!
天の声が、お前が通ったら皆で通れなくしろー!って……そして、戦ってやられてくれ~って言われて、俺達仕方なく来たんだぜ! なのによ~」
「ちょっと待って! って事は僕はこれから君達と戦って勝たなくてはならないの?」
スライム達はうなずいて、
「そうだよ!」
「そんなのやだよ!」
勇者は憤りを感じた!
「やだよって…そう言う事になってんだよ! さぁ来い!」
スライム達は身構えた。
「いやいやいや! それはおかしいよ! だって僕は乱暴な事は嫌いだから…」
「いやいやいや~って、じゃどうすんだよ!」
「いや~、僕に言われても……
そうだ! 天の声と言うのに聞いて見てはどうか?」
「えっ!天の声に聞くのか?」
「うん、そうだよ!」
「いや~、天の声に聞いても応えてくれるかな?」
勇者は、
「おい! 天の声! 聞いてるか?」
シ~ン
「天の声~~~!」
シ~ン
「スライム君達もいっしょに天の声を呼んでよ~」
皆で……せ~の!
「天の声~聞こえてたら、返事くれ~!」
「ほれみろ!天の声なんて聞こえないじゃないか!」
「だって……確かに……」
「ダッ~! 誰よ!さっきからうるさいわね!
天の声、天の声って…それ私の事?」
って、天の声は応えた!
スライム達は叫んだ!
「あっ、天の声だ!」
「ね~、天の声って、私の事言ってんの?」
勇者は、
「あぁ~そうだ、お前の事だ!」
「お前の事って…あんたちょ~生意気なんだけど。 それに、私にはれっきとした“か○子”って名前があるんだから…ちゃんと名前で呼んでよ!」
「僕はそんな事知らないよ。 それと、天の声の名前がか○子だなんて…何故?○が入っているのだ?」
「フフフッ、子供には分からない大人の事情よ!
それより、ちょっとあんた!私をバカにしてるの!」
「いや~そうじゃなくて…天の声の名前がか○子だって…」
「あなた、私をバカにしたわね!
あんたさ~誰のお陰で勇者に成れたと思ってるのよ!」
勇者はまだ笑っていた。
「もう~頭にきた! いいわ!
あんたにまだ名前付けていなかったけど、変な名前にしてやる!」
天の声はしばらく考えた…
「私さっき、おでんを食べてたのよね。 私さ~厚揚げが大好きでさ~」
「お前、いったい何の話ししてるんだ?」
「いいから、黙って!
大好きな厚揚げを食べようと焦って、舌を火傷しちゃたのよね。
まだヒリヒリするわ」
「だから~何の話しをしてるんだ?」
「大好きな厚揚げだけど、思わず“コラ!”って思っちゃったのよね。
あんたと同じ!」
「何が同じなんだよ!」
「だから~あんたの名前は“厚揚げ”にしよう!」
「おいおい、そんな簡単に決めるなよ!」
「いいじゃない! 私は天の声!
私の自由よ!」
「いや!ちょっと待てよ!」
「そうだ! 性はおでん、名は厚揚げ…これで行こう!」
「あぁ~もう…いい加減にしてくれ!」
「あら!私は真剣よ!」
「おい! あの勇者の名前…厚揚げだってよ!…」
「おい!スライム達、笑うな!
天の声さん…いや、天の声様、本当に僕の名前は“おでん 厚揚げ”なのでしようか?」
「うん! 決まり!」
“ジャーーーン!”
勇者 “おでん 厚揚げ” 誕生!
キラーーー!
「おお~!勇者の誕生だ~!」
スライム達は拍手でお祝いをした!
…つづく
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