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目を開けると私は、朱華神社にいた。
そして私の右手は誰かの手と繋がれている。顔を上げてその相手を確認すると母親であった。
「あなたは何をお願いするの?」
気が付けば、母と共に拝殿にいる。そして私の意志と関係なく自らの口が動き
「私の好みな顔の人と結婚できますように」
と鈴を鳴らし、二拝二拍手をした後に言う。そして一礼、我ながら恥ずかしい願い事ではないか。
「あら、おませさんね。まだ、あなたには早いんじゃないの?」
母は笑いながら、そう言った。いや……そう言っていた。
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