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少し長めで銀に近い白髪で、まっすぐな柔らかい彼の髪が私の頬に触れる。それぐらい顔が近い距離であり、柑橘系だろうか?爽やかさに甘みのある良い匂いもする。恥ずかしさで心臓が早くなった。
どうして彼が涙声なのかは分からない。それほど人手不足で私が来たことにより助かり、喜びの意味で泣きそうになっているのか……でも、そうであるなら別に私でなくても良いんじゃ……
そう考えながら、彼の抱きしめてくる腕から逃れようと、体を離そうとするとそのタイミングで、彼がやってきた暖簾から、もう1人同じ着物姿の人が来る。
彼との違いは、身長があちらの方が高くて体格も良く男らしい。髪色は同じであるが、短めで癖がある。着物が少しはだけており、だらしなさを感じられた。
こちらに足早で近づいてきて、私を抱きしめている彼の肩を掴み
「おい。怜……初対面でいきなり止めないか。離してやれ」
と、話す。この抱きしめてきている男は怜と言うらしい。
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