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それにしても注意をしてくれた、男の声が色っぽい低音でまた心臓が早くなりそうである。聞いていた話の通りに、これは確かに女性客が妄想を膨らますわけだ。と思った。
怜とこの男は面を付けてはいるが、目元のみ隠れている形の物なので、口元で何となく感情を読みとれる。
怜を離してくれた男の口元は少し怒っているように見えた。
「初対面……そうですよね、すみません」
怜は私に謝ると体を離してくれた。
「怜がいきなりすまなかったな。アンタの事は事前に聞いているぜ、俺の名前は狐月焔。よろしくな嬢ちゃん」
少しだらしなくも色っぽい彼は、焔というらしい。
焔は挨拶のつもりか、私の目の前に手を差し伸べて、握手を求めてきたので焔の手を握ると、彼の手は大きくて温かく、普段からあまり男性慣れしていない私には、これだけの行為でも、少し顔が赤くなってしまう。
相手にその顔の赤さがバレていなさそうなのは、安心だ。
「僕の名前は狐月怜。突然と失礼な事をすみませんでした。焔とは似ているのですが、兄弟や双子では……あ、いえ。一応双子であり焔は僕の兄です」
……一応双子?どういうことなのか、私には分からないが、焔と怜へ挨拶を返す。
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