居酒屋

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金曜日 午後18:45分  居酒屋 坂の上のポンチョにて 「クソがっ! またフラれた~!」 私はビールのジョッキを右手に持ち一気に飲み干した。 「あんなに尽くしたのに。他に好きな女ができたからってすぐにポイッ! って、なんなのよ! ねえ~ 吉田部長! 聞いてます~ 私、可愛くないですか~? そそられませんか~? 胸だってDは有るんですよ、ねえェ~、よ・し・だ・ブ・チョ・ウ」 「清美君、あまり無茶な飲み方はダメですよ」 「あ~~~っ! あったまくる」 「それに今日はのっけからテンション高いですね」 「そりゃ高くもなりますよ! わたし29年間生きてきて1ヶ月以上付き合った事が無いんですよ。今回も28日目にフラれたし」 「それは大変ですね。あっ! すみませ~ん 注文いいですか、──生ビール2つおかわり、それと唐揚げと焼き鳥セット、それと海ブドウとタコワサとゴマサバください」 「ちょっと~、店員さんぁ~、ビール1つキャンセルね、芋焼酎の玉露、ストレートでちょうだい」 「清美君、2杯目で焼酎のストレートはちょっと無茶しすぎですよ。もう少しペース落したほうがいいじゃないですか。料理来る前にベロンベロンじゃないですか。せめて水割りの方がいいんじゃないですか」 「吉田部長だけですよ~ォッて、私の気持ち分かってくれるの。他のやつらなんかぜんぜんダメッ! クソクソクソ! ──ねえ、吉田部長は独身なのにどうして結婚しないんですか~? それに私には全く手を出さないし。魅力無いですか~?」 「清美君は魅了的ですよ。背が高くてスタイルも良いし、綺麗だし、大きな胸も目を引くし、左目の下の泣きボクロもそそるし。それに赴任してきたばかりの私を週3で飲みに誘ってくれるし」 「じゃ~ どうして私を抱いてくれないんですか~ おかしいじゃないですか?」 「まあまあ、清美君、ほら焼酎が来ましたよ、なみなみ注がれてて美味しそうですよ。必ず(こぼ)れますのでちゃんと升を持って飲んでくださいね」 私は升を左手で持ちグラスを右手で支えて少し升に(こぼ)した後で一気に飲み干した。    ──と、ここまでは覚えている。 「もうダメ、飲めニャぃ」 「しょうがない人ですね、今宵はここまでにしましょう。すみませ~ん お勘定! それとさっき注文したの持ち帰りでお願いします」
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