6人が本棚に入れています
本棚に追加
居酒屋
金曜日 午後18:45分
居酒屋 坂の上のポンチョにて
「クソがっ! またフラれた~!」
私はビールのジョッキを右手に持ち一気に飲み干した。
「あんなに尽くしたのに。他に好きな女ができたからってすぐにポイッ! って、なんなのよ! ねえ~ 吉田部長! 聞いてます~ 私、可愛くないですか~? そそられませんか~? 胸だってDは有るんですよ、ねえェ~、よ・し・だ・ブ・チョ・ウ」
「清美君、あまり無茶な飲み方はダメですよ」
「あ~~~っ! あったまくる」
「それに今日はのっけからテンション高いですね」
「そりゃ高くもなりますよ! わたし29年間生きてきて1ヶ月以上付き合った事が無いんですよ。今回も28日目にフラれたし」
「それは大変ですね。あっ! すみませ~ん 注文いいですか、──生ビール2つおかわり、それと唐揚げと焼き鳥セット、それと海ブドウとタコワサとゴマサバください」
「ちょっと~、店員さんぁ~、ビール1つキャンセルね、芋焼酎の玉露、ストレートでちょうだい」
「清美君、2杯目で焼酎のストレートはちょっと無茶しすぎですよ。もう少しペース落したほうがいいじゃないですか。料理来る前にベロンベロンじゃないですか。せめて水割りの方がいいんじゃないですか」
「吉田部長だけですよ~ォッて、私の気持ち分かってくれるの。他のやつらなんかぜんぜんダメッ! クソクソクソ! ──ねえ、吉田部長は独身なのにどうして結婚しないんですか~? それに私には全く手を出さないし。魅力無いですか~?」
「清美君は魅了的ですよ。背が高くてスタイルも良いし、綺麗だし、大きな胸も目を引くし、左目の下の泣きボクロもそそるし。それに赴任してきたばかりの私を週3で飲みに誘ってくれるし」
「じゃ~ どうして私を抱いてくれないんですか~ おかしいじゃないですか?」
「まあまあ、清美君、ほら焼酎が来ましたよ、なみなみ注がれてて美味しそうですよ。必ず溢れますのでちゃんと升を持って飲んでくださいね」
私は升を左手で持ちグラスを右手で支えて少し升に溢した後で一気に飲み干した。
──と、ここまでは覚えている。
「もうダメ、飲めニャぃ」
「しょうがない人ですね、今宵はここまでにしましょう。すみませ~ん お勘定! それとさっき注文したの持ち帰りでお願いします」
最初のコメントを投稿しよう!