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お茶を淹れてもらって、これも義弟が持って来てくれたクッキーをつまんでいると
「史香」
急に、改まったように呼ばれて、顔を上げた。
一瞬、何か粗相をしたかと思ったけど、別に食べこぼしとかじゃなかった。
「なに?」
「……さっきも、変なことを言ってしまったし、しつこいかもしれないけど、……来年も、まあその先も勿論だけど、この先もずっと……二人で出来るだけ長く過ごせるようにと思うから。今年も、ありがとう。来年も、よろしく……その……また迷惑かけることもあるかもしれないけれど」
文章書くのが仕事のくせに、全然まとまりのない言葉をたどたどしく、でも一生懸命な顔をして彼は伝える。
こういう表情、学生の時から変わらないなと思う。
「……ありがとう。……こちらこそよろしくお願いします」
言ってから、ふと思い出して私は言った。
「ねえ、もしも……病気とか困ったことがあっても、お互いにちゃんと話そう?勝手に、黙ってこうした方が相手のためだとか考えないで、……子供も居ないし、二人しか居ない家族なんだから、何があっても二人で向き合おう?」
彼は、少し考える表情を浮かべてから、苦笑いする。
「僕が、そういうことをしそうだと思った?こうした方がきみのためだって、黙って何かやりそうだと」
「……うん。悪いけど、思う」
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