私は人形屋

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私は人形屋

 小さい頃から、父が経営する人形屋に入り浸って私は育った。  父の後を継ぐのは兄だと思っていたのだけれども、不幸なことに兄ふたりはどちらも、以前街に蔓延った流行病で死んでしまった。  兄弟の中で女の私だけが残されて、父は悩んだ挙げ句に私に店を継がせた。  うれしかった。兄には悪いけれど、こうやって人形に囲まれて過ごす毎日はとても楽しい。  店を継いだからには人形の発注も自分でできるようにならなくてはならない。職人の元へと何度も通って、その技を見て聞いた。  職人の話を聞いているうちに、私も人形を作りたくなった。そして、細切れに聞いていた技をつなぎ合わせて、私は自分の人形を作り上げた。  私は人形師としての道を走り出す。
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