トラウマを告白 side寿貴

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俺は小さな頃から、いずれ父の病院を継ぐため、医師を目指していた。 学校は私立の青仁館学院だったため、幼稚舎から高校までの一貫教育で、周りにも同じような境遇の者が沢山いた。 まあなんと言うか、御曹司だらけと言う学校だったんだ。 春彦もその中の1人だった。 葛城総合病院は、遡れば江戸時代から続く、医師の家系だ。 一貫教育ではあるが、系列の大学に上がるにも、医学部だけはかなりの勉強量を強いられる。 俺も春彦も、一切遊ぶ事なく高校時代を過ごし、ただひたすら内部進学するために勉強を続けた。 その甲斐あり、共に青仁館大学医学部に合格。 周は同大学の経済学部経営学科に進学。 俺達は大学生活をスタートさせた。 周は高校時代からプライベートを充実させていて、そのまま大学でも老舗和菓子屋の御曹司らしい恵まれた生活を送っていた。 しかし、俺と春彦はいわゆる大学デビューだった。それまで一切遊んでこなかったのだ。 サークルに入り、今まで出来なかった勉強以外のことにすぐ夢中になった。
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