桜川産婦人科病棟での出会い

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「余計なこと言うな。 ………桜川寿貴(さくらがわとしき)だ。」 「院長先生や美咲さんにはいつもお世話になっています。 どうぞ宜しくお願いします。」 「…ああ…」 「全く! 挨拶くらいまともにしてよね。 で? 何か用?」 「お前が呼んだんじゃなかったか?」 「あ! そうだった。 これよ。お義母様から預かったの。」 「……なんだ?」 紙袋に入った何かを、重そうに持ち上げる美咲さん。 「お見合い写真よ。」 「……。」 「どの人もかなり良いところのお嬢様みたいよ。 あ、特に、これとこれ。 付箋が貼ってあるでしょう? このお二人は超が付くオススメだそうよ?」 「……いらない。 葛城のババアに返しておけ。」 そう言って、紙袋を持つ事もなく、ドアを再び開けて帰って行こうとするセンター長。 「え? ちょっと! 散々重い思いをして持ってきたのよ? 目を通すくらい良いじゃない。 私とお父さんでセレクトしてみようか?」
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