SヒルズタワーVIPラウンジ side寿貴

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「社長、お2人に何か飲み物を…」 「お、そうだな。 こっちはワインを開けてたんだけど、君達はいつも何を呑んでるの?」 「ビールが多いですね。 でもそのカリフォルニアのピノノワールは好きです。軽くて飲みやすい。」 「じゃあもう一本頼もう。 寿貴くんもそれでいいかい?」 「はい。ありがとうございます。」 俺達はワイングラスと追加のワインが運ばれるのを待った。 ふと、娘の方を見ると目があった。 軽く会釈をされる。 でもやっぱり、それ以上に何かアピールしてくるようなことはない。 もちろん、周に対しても。 これが下のバーで出会った女なら、必死でアピールしてきた事だろう。 「今日、寿貴の妹の美咲が松寿庵に来たんですよ。そこで、花さんからコーヒーをいただいた話を聞いたんです。なんでも、和菓子に合うように淹れたコーヒーだったと言ってました。」 「和菓子に合うコーヒー? 花、何を持っていったんだ?」 「No.8よ。 香りをしっかり残して、薄めに淹れただけ。No.8の苦味が和菓子に合うかと思って。」 「あー、なるほど。たしかに合うだろうな。 花の味覚は確かだからな。」
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