SヒルズタワーVIPラウンジ side寿貴

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「……昔、祖母が作ってくれた、煮出した濃い麦茶みたいな味でした。懐かしい味。」 「あ、センター長も飲んで下さったんですね! ポットをそのまま置いて行っちゃったから。」 「……美味かった。」 「それはありがとうございます!」 これは、とっておきの笑顔と言うやつだろうか…。 自然体の彼女の笑顔に思わずドキッとする。 「寿貴、お前も頂いてたのか。 いいなぁ〜。花さん、俺も飲んでみたいです。 うちの和菓子と一緒に。 悔しいじゃないですか。 金子堂に張り合うわけじゃないですけど。」 「へぇー。 僕も飲んでみたいな。 花ちゃん、今度は松寿庵さんのお菓子を買ってきて、企画室で淹れてよ。」 「えぇ! 誰でも淹れられると思いますよ? あ、でも、松寿庵さんの繊細な練り切りに合わせたら…。うん。いいかも。 ちょっと楽しい試みが出来そう。」 そう言って、彼女は何か考え込みだした。
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