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「あ、でも、7・8階の医局やVIP階と、6階のトゥモローシードセンターは別なんです。セキュリティカードを持っているのは私だけなので、基本的に私がお持ちします。」
「そ、そうか!」
「それで…さっきのお話に戻るんですが、最初にタンブラーを2つお求め頂くことをご了承いただかないといけないんです。
だから、ひとつ目がサービスということで……
いかがでしょうか?『タンブラー定期便』」
「つまり“コレ”は先行投資だと言うことか?」
「はい! そうなりますね〜。」
そんなニコニコと無邪気に商売っ気を出されて断れるわけない。
……元より、断る気もないけど。
「わかった。乗る。
定期便、毎日届けてくれるか?」
「はい! ありがとうございます!
フフフ、実はもう、そのタンブラーの裏に
寿貴先生のお名前、書かせていただいたんです。」
「……は?」
裏を見ると、流れるような筆記体で、確かにT Sakuragawaと書いてある。
最初から、断られるなんて思ってなかったんじゃないか!
「…フッ、ハハハハハ……あんた、面白いな。」
「花です。
花って呼んでくださいね。寿貴先生。」
「……。」
花⁉︎ この俺が、女性を名前呼び⁉︎
美咲しか呼んだことないのに⁉︎
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