聖コスダミホスピタルタワーマンションにお邪魔する

5/10

1197人が本棚に入れています
本棚に追加
/387ページ
「レジデンスとほとんど変わらないだろ?」 「あ、はい。」 そうか。ご実家に来られる事もあるんだから、もちろんレジデンスについてもよくご存知なんだ。 私達が乗ったエレベーターは高層階用のエレベーターだったらしい。一気に上昇して、ツンと耳が詰まったような気がした瞬間、エレベーターが止まっていた。 「最上階なんですね。」 ホスピタル内での寿貴先生の地位がよくわかる。 「30階以上はワンフロアに1戸だ。」 「そ、それはすごい広さですね……」 お一人で住むには広過ぎるのでは…。 「…まあ、ほとんどの部屋、使ってないんだ。正直1LDKで充分なんだけどな。 ホスピタル側から与えられたのがここだったから仕方がない。」 それだけ、トゥモローシードセンター長という地位は高いのだ。 おそらく桜川院長の次に高い。 でも桜川院長がまさかこのタワマンに住むはずがない。これだけゴージャスであっても、ここは社宅だから。 「何部屋あるんですか?」 「5LLDKだ。メゾネットなんだ。」 ……。 本当に桁違いだ。 一人暮らしでメゾネット。しかもリビングが2つ? それが使われていないなんて、本当に勿体無い。 「どうぞ。あ、スリッパ……こごめん。美咲のしかないな。 客用があったはずなんだけど…」 シューズクロークの引き出しを片っ端から開ける寿貴先生。 この部屋に誰か来ることはないのだろうか…。
/387ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1197人が本棚に入れています
本棚に追加