洗濯日和

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洗濯日和

げぶ。 と、朝っぱらから仮にも女にあるまじき音を立ててしまったが許してほしい。勢い余って自らの手で喉奥に歯ブラシをぶっ刺してしまったのだ。おまけに、えずいた拍子に口の端から歯磨き粉混じりの涎も垂れた気がする。 それもこれも目の前の、霊長類ヒト科ヒト目/体長193センチの色白細長マッチョのせいだ。 「あ、ユキちゃん!おはよう!」 『太陽に向かってぇ、』 「『グッッッモーニン‼︎』‼︎」 赤と青のド派手なレオタードに身を包み、見事な脚線美を晒している男。 同じようにカラフルなレオタードに彩られたマッチョな男達が映るスクリーンをバックに、彼は爽やかに微笑む。 …ヘアバンドで髪が逆立った頭を、上体ごとグリン!とひねった、アクロバティックな姿勢で。 「あと5分でぇッ、コレ終わるからッ、朝ごはんッ、食べにいこーねッ『マッスゥール‼︎』‼︎」 声も高らかに…どころかもはや裏声の域で、スクリーンの同族達とハーモニーを奏でつつ、彼は全力で腰を振り始めた。 「……」 ドアをパタンと閉める。 3秒数えてから開けてみる。 『クジャクになりきってぇー、』 「『クルックゥー‼︎』‼︎」 レオタードから生えた筋肉質の長い腕が羽ばたいている。あまりの勢いと数の暴力(スクリーンの中の軍団+リアル1名)で、風も起こせそうな大迫力だ。 勢いよくドアを閉め、背中を預けるようにしてへたり込む。 後になって振り返れば爆笑モノの状況なのだが、この時の私はあまりの状況にキャパオーバーを起こしていたらしい。 なお笑えることに、私はこのレオタード男に昨夜抱かれたのだった。
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