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「宗像さん、日和のこと好きなんですよね?」
ワインで乾杯して、スタートした食事。いきなりストレートな質問を頂いた。
懇意にしているレストラン少し無理を言って用意してもらった個室。
雰囲気は悪くないはず。
「好きですよ。湊になにかあったら、かっさらう用意は出来てるんで。日和の将来は盤石です。子供ごと養います」
俺の一言に岡村さんは破顔した。
「日和、将来の憂いはなさそうだなぁ。羨ましいくらい。でも宗像さんが立候補するなら、私だって立候補しますよ、日和に」
「岡村さんも日和のこと好きですからね、ライバルだ」
岡村さんがちょっとだけ驚いて、納得したように微かに俯いたような気がした。
「聞いてるんですか、湊さんから・・・・」
「岡村さんの就活の時に噂話程度にチラッと・・・」
岡村さんの現在の勤務先は、婉曲的ではあるけど、俺の仕事関係のご縁も使ったしね。
「そっか、私の就職、宗像さんのコネとかも使った感じですか?」
「そんな感じです」
「宗像さんは寂しくないの?日和、取られちゃって・・・・」
食事もお酒も進んだせいか、岡村さんの顔は式の時より紅潮していて、話し方も少しずつ砕けた感じになってくる。取り澄ましたような美人から、ちょっと絡みやすい雰囲気に変わってきていた。
「昔から日和は湊のモノになるんだろうなぁって気はしていたから」
「私は今でも正直、諦めきれない部分もあるの」
諦めないまま結婚したから、離婚することになったんだろうか?
そう言えば、離婚の原因は聞いてないな。
そろそろ酒は止めた方がいいだろうか・・・そんな感じもしてきていた。
さっきまでと明らかに空気感が変わっている。
岡村さんはお酒、弱かったのか?さっきから強めのアルコールをオーダーしていたから、てっきり酒豪なのかと勘違いしていた。
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