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「碧ちゃんは責任感強すぎでしょ?」
「女性はいつだって、ガラスの天井と戦わなきゃいけないんです」
「ちょっと休戦するのも戦術のひとつ」
そんな風に宗像さんに言われて、ちょっとだけ気が楽になった。
見た目と違って、結構、柔軟な考え方をする人だということは一緒にいれば、いやでも分かってくる。
悔しいけど、この人は奥行がある。そう思わせられた。
「どう?惚れてきた?」
「っなわけない」
「頑張るねぇ。まっ、そんなとこも可愛いですけど」
なんのてらいもなく口説いてくるから、ホント、たちが悪い。
そしてこの余裕・・・・年の差と経験値からくる差を否が応でも感じてしまう。
「今、宗像さんのこと考えてたでしょ?」
気がつくと私のことを面白そうにまじまじと見てくるこの友人が、ちょっとだけ憎たらしい。
「碧、前よりずっといい女になってる」
「私は昔からイイ女なのよ」
「そうでした」
そうやってケラケラ笑う日和。多分、日和がこんな風に笑えるようになったのは湊さんがいつもそばにいるからなんだろうってことは分かってる。
それがやっぱりちょっと悔しいけど、でも今は良かったねって素直に言えそうになってる。
学生時代の日和はどちらかというと、どっか張り詰めた感じがあったから。
きっと、日和は『お互い様でしょ?』って言うんだろうけど。
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