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「あ えっと…仲…いいなって意味で。」と取り繕うように言った。
「あぁ そうかな?腐れ縁だよね。まさか職場も同じになるとは思わなかったけどね。」
若干微妙な空気は残ったけど、間宮さんはうまく軌道修正してくれた。
『嫉妬』に気づいてしまった僕は、どんどんもやもやして、いたたまれなくなる。気づいてはいけない気持ちが引っ張り出されてきて、もう引き返せない。
「な なんかすいません」場違いに謝ってしまう。相当動揺してる。
「あ ううん」きっと間宮さんも戸惑っている。
怖くなって、コーヒーを乱暴に飲み干して勢いよく立ち上がる。
すると、間宮さんが慌てたように
「待って!もう行っちゃうの?」と僕の服の裾をつかんだ。
思わず間宮さんを振り返ってみてしまう。
「あ ごめん」そう言ってゆっくりと僕を解放する間宮さん。
「ちょ ちょっと疲れたので…帰ります。」
「あ うん 引き止めちゃってごめん」と間宮さんはいつもの間宮さんに戻った。
「話できて楽しかった。」僕の気持ちも知らないで、きっと柔らかく微笑んでいるだろう間宮さんを、僕は見ることもできずに、軽く頭を下げて、休憩室を後にした。
「はぁ 田中にあおられちゃってんなぁ俺…」僕が去った後の休憩室で、
自嘲気味にため息を吐いた間宮さんの言葉が響いていた。
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