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「日置君ほんといい仕事してくれるよね」 フロント兼事務所勤務の柴野さんが菰田さんに笑いかける。 「でしょ?こいつこんなかわいい顔してるけど、働きっぷりはいいだろ?」 とどや顔の菰田さんに肩を抱かれる。いや、顔関係ないっすよね?と心の中でツッコむ。 「僕も、菰田さんに拾ってもらえてほんと感謝してます。」 「ほんとこんないい子がなんで菰田さんについてきてるの?」 吉井さんが、不思議そうに聞いてくる。 「だよね?私もきになってた。2人ってどういう関係なの?」 田中さんも食いついてくる。 「俺も気になるなぁ。2人タイプも違うし」 間宮さんにも聞かれて、ドキッとする。 「もしかして、日置君脅されてる?」柴野さんの突拍子もない問いかけに笑ってしまう。 「いえ 今のところ大丈夫です。」 「今のところってなんだよ?俺むちゃくちゃ優しいからね。」 菰田さんに頭を軽くぐりぐりされる。 「たまたま同じ教授のゼミで、何となくって感じですかね?菰田さんめちゃくちゃ面倒見良いんで、みんなに慕われてたんですよ」一応あげておく。 「あぁわかる。菰田さん見かけによらずいい人だもんね」吉井さんの一言でみんな笑う。 「俺も、何となく気が合ったからな。それになんかほっとけないんだよ日置って。」 「あぁ それもわかるっぅ」田中さんが激しく同意したので、思わず間宮さんの顔色を窺ってしまう。 「日置君かわいいもんね。」田中さんが言いそうなことを、間宮さんに言われて、心拍数が上がる。 「それってほめ言葉ですか?」必死に受け流そうとして、はぐらかす。 「確かに、でもかわいいもんはかわいいもんね」なんだかよくわからない田中さんのフォローも、今は突っ込む余裕がない。 そこに、吉井さんが爆弾を落とす。 「でも、私腐女子だから、菰田さんと日置君って萌えペアかも」 「へ?」萌え…ペア…。またもや、真っ先に間宮さんの顔色を窺ってしまう。 「あぁ わかる。在りがちだよね。ガテン系と子犬系。」田中さんは、何にでも乗っかってくる。 「はは…。すごい想像力だね。」間宮さんがそう言った。なんかヤダ。 間宮さんがやきもち焼くなんてことないのはわかってるけど、焼いてほしいと思ってしまう。間宮さんには関係ないことなのかもしれないけど、ちょっと期待してしまっていた自分に、腹が立った。 「でも、蒼みたいなのと、日置君でも私は萌えるかも」 —え?田中さんがおとした更なる爆撃で、俺はうろたえてしまう。 「だって、日置君。」間宮さん…からかってるんですか?僕は恥ずかしくて顔があげられない。何かうまく返さないとみんなに怪しまれる。そう思っていた時、 「日置お前、女子の妄想の中ではモテモテだなぁ!」と菰田さんが俺の頭を抱えてぐりぐりする。間宮さんに見られるのはいやだけど、今はそうしてくれる菰田さんがありがたい。 「菰田さん。日置君つぶれちゃいます。」 予想外に、そっと僕の腕を引いて菰田さんから引き離そうとする間宮さん え?なんで…?自分の気持ちが処理しきれなくなる。 「あ あの僕お手洗いに…」 そう呟くと、 「お わりーわりー」と菰田さんも間宮さんも、僕を解放してくれる。
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