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一瞬にして処理速度に支障が生じる。
「あんな近くにいるし、もう田中言ってるのかと思ってた。」
当たり前のように、間宮さんは話を進める。
「あれ?もしかしてがっかりしてる?」
いや。そうじゃない。そうじゃないです。
むしろ安心しています。そう言いたいのに、言葉が出ない。
「やっぱ、男の日置君を好きになるなんて、俺気持ち悪いかな?」
いや、それも違う。
「ぼ 僕、てっきり間宮さんは、田中さんを思っているのかと…」
やっとのことで、絞り出した言葉。
言葉を発したことで、少し冷静になったら、とんでもないことに気づく。
さっきから、間宮さんは僕のことが「好きだ」と連呼してる!
「あいつとは部活も一緒だったし、昔は友達何人かで、泊りで遊んだりしたけど、何もないよ。あ あれ?日置君大丈夫?顔真っ赤だけど。」
間宮さんにそう問いかけられて、自分が真っ赤になってることに気づく。
「あ あの…僕のこと好きって…」
「あ あぁ 思いっきりこくってるね。」と恥ずかしそうにする間宮さん。
あぁ、僕たち両想いなんじゃない?そう思ったら、間宮さんがいつもよりキラキラと、素敵に見えてしまう。そして思わず
「ぼ 僕も…間宮さんのこと、す 好き…です…。」
と言ってしまった。
一瞬空気がとまった。
そのあと
ギューッと抱きしめられた。
「日置君…」
耳元で溶けるようにささやかれた僕の名前。
「俺の恋人になってくれない?」
夢のような告白に、静かにうなずくしかできなかった。
生まれて初めて、幸せすぎて涙が出た。
「よかった」優しい声に、僕も間宮さんの背中に腕を回した。
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