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僕と間宮さんは付き合うことになった。 間宮さんは、ほんとに甘くて、くすぐったいくらいだ。 みんなに慕われて、頼りになる間宮さんとはまた別の魅力に、 どうにかなってしまいそうだ。 「ねぇ」 今日はお休みで、僕の部屋でテレビを見ていた。 「日置君。」 「はい」 「なまえでよんでいい?」 「え?」 「"なおと" って呼びたい。」 無駄な色気を垂れ流しながら、そう聞かれる。 「べ 別にいいですよ」名前で呼ばれるよりも、僕だけを映しながら見つめてくるその視線に、ドキドキする。 そういうと、間宮さんは、ずいっと俺に顔を近づけて、親指で僕の唇をなぞって、 「なおと…キスしていい?」 「…は?」 いや いろいろ一気に要求しすぎでしょ? そう思うのに、本能に逆らえない僕は、思わず唾をのんで、うなずいてしまう。普通恋人同士が付き合ってからどのくらいでキスをするものなんだろう。 そんなことを考えてる間に、間宮さんが近ずいてきて、そっと唇が重なる。 やわらかい—そう思っているとすぐにその熱は離れて、 「あ…」思わず声が漏れてしまってはっ!と口をつぐむ。 それを見逃さなかった間宮さんが、怪しげな笑みを浮かべる。 つぎの瞬間 間宮さんに後頭部を押さえられ呼吸を奪われる。 深く深く、唇は重ねられて、間宮さんの舌が僕の口内を暴れる。やさしい間宮さんとは思えないほどの荒々しさなのに、子供が飴玉をおねだりするみたいに、かわいく求めてくる。どうしよう。—気持ちいい— 「間宮さん…」溺れてしまいそうで、怖くなって彼の名前を呼ぶ。 「なおと。…」え?唇が離れない距離で間宮さんがささやく。 「蒼って呼んで」 …!なにそれ!やばい恥ずかしさが甘く溶けていく。 「早く…」キスの合間に間宮さんが押し付けてくる。 「あ あぉ…」 「ふふ…もっとちゃんと」垂らした前髪をかき上げて、その手を僕の腰に回してくる。 「…!間宮さ…!」 「 」僕の言葉は遮られる。 「あ 蒼!ダメ」シャツの裾から滑り込まれそうになる手に本気で焦る。 こういうのって、もういいんだっけ?初キスで、そのままいいんだっけ?普通の恋人ってどうしてるの?いや早くない? ふと間宮さんを見ると、キョトンとして僕を見つめている。 「えっと…あの ちょっと…」 こういうのって、よくあるやつ?体の関係を拒んだら、嫌われる的な? いや でもそれって男女の場合で…。男同士の初めてだし、心の準備とか…。そして最後に思い至る。 これって僕が“女の子側”ってこと?
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