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「年末年始は忙しいから、広報のお二人もお手伝いお願いしますね」 柴野さんに言われて、フロントやレストラン、洗い場などを一通りこなせるように、レクチャーしてもらう。僕はほぼ裏方だけど、まじかで蒼さんの仕事を見られるのはちょっぴりテンション上がる。とはいえ、仕事はしっかりこなさなくてはと、気を引き締める。 「なおとも制服着ればいいのに。」洗い場なので私服の僕に、蒼さんはちょっと残念そうだ。 「明後日は、制服着れるみたいです。」そう言うと、とてもうれしそうに 「楽しみにしてる。」と耳打ちしてくる。 「ちょっとぉ、うちの部下にてぇだすのやめてくれる。」 そこに、田中さんが割って入ってくる。 「通常運行だな。」 もはや、日常となりつつある、こんなやり取りに、吉井さんや、菰田さんがつぶやいて、通り過ぎる。 「いいの蒼?日置君に制服着せて?」田中さんが意味深に蒼さんに迫る。ちょっと距離近くないですか?といらない心配をする。 「なんで?」蒼さんもキョトンとしている。 「なんでって、ここの制服着た日置君、絶対かわいいよぉ」 田中さんの言葉に、蒼さんは僕を上から下までじっくりと見た後、 「…とりあえず、一回俺の前だけで着てみて」と口に手を当てたままつぶやいた。 「ふふ、蒼があんな顔するなんて…面白い。」 完全に僕たちをおもちゃにしてる田中さん。 僕と付き合ってから、田中さんも驚くくらい、蒼さんはいろんな表情を見せるらしい。 「完璧でいけ好かなかったけど、日置君といるとかわいいところもあるんだなって、親近感わくわ」 やっぱり面白がっている。 「ただいま」 なぜか僕の家に『ただいま』と帰ってくる蒼さん。 くすぐったいけどちょっとうれしい。 「おかえりなさい」そう言って、蒼さんを見ると荷物が多い。 「なんですか?」荷物を指しながら言うと、 「来週から、お客様の前にも出てもらうから、一応レストランと、フロントの制服」と嬉しそうにラックに制服を掛ける。 「サイズ感だけ見といて」 そう言った後、後ろから僕をホールドして、 「ご飯食べたら、着て見せて」とささやいてくる。
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