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「日置君が新しい意見出してくれるから、新規開拓も順調だね。後は俺たちの次第で、リピーターさんになってもらわなきゃね。」休憩室にいたスタッフの皆さんに優しく語りかける間宮さん。僕も、ほめられて悪い気はしない。 「お役に立ててよかったです。僕のほうこそ、暖かく迎えていただけて、感謝してます。」社交辞令でも何でもない。ほんとにそう思う。 そんな僕に間宮さんは『ほんとに?』と茶化してくる。そのいたずらっ子のようなしぐさに、ギャップ萌えというのだろうか。男の俺でさえ、ドキッとしてしまう。 「そうだ。日置君の歓迎会まだだったし、親睦会でもしましょうよ。ね間宮さん」スタッフの一人がそう言った。 「そうだね。どう日置君?」間宮さんに聞かれて、僕は迷うことなくうなずく。 「ありがとうございます。喜んで」僕の一言で、すぐに日にちと場所が決定する。なんというチームワーク。半期に一度の館内清掃で、休館日も近かったというのもあるんだろうけど、たくさんの人が参加できそうだった。 「ほんと理由つけては飲み会ね」広報課長の田中 (かおる)さんが、おかしそうに笑いながらそう言った。田中さんは僕の直属の上司だ。と言っても二人きりの広報課。部下は僕しかいない。美人で気さくで、課長というよりは、"お姉さん"という感じだ。僕のこともとてもかわいがってくれてるんだけど、何となく“僕=犬 田中さん=飼い主”な感じが否めない。間宮さんとは同級生らしく『腐れ縁』と言っている。この二人のいる教室は、さぞかし華やかだっただろうなぁとか、自然と想像してしまう。 「まぁ 日置君と飲めるのは楽しみね」 「は はぁ」田中さんの笑顔にあいまいに答える。 「日置君。こいつだから、覚悟してね。」 間宮さんが、ウインクしながら言う。 な なんか怖いんですけど…。
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