14

1/2

170人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ

14

お茶を置いて、蒼さんに向き直って、膨れて見せる。 端正な蒼さんの顔が、ちょっと緩んで、そんな僕のほほを両手ではさむ。 「もう!かわいいかわいいって何なんですかぁ」 ちょっと怒ってますアピール。 「ごめんごめん」 そう言って、少し笑った後、 「でもダメなんだ、直人の顔見たらどんな表情も、かわいいから」 そう言って、真顔になる。 なんだよ、その感じ。 こんないい男に、そんなふうに見つめられたら、僕は全部許しちゃうじゃん。 思わずその唇に吸い寄せられてしまう。 ちゅ。 唇が触れた瞬間、蒼さんがぴくッとなる。 「驚いたな。そうやって…。俺を誘うことを覚えるなんて。」 「え…?」 「もうそういうの俺だけにして。マジで無自覚に人たらしこんでるんだから」 とても切なそうな蒼さんのかすれた声。 「スタッフのみんなにも嫉妬しそうだ」 そう言って僕を抱きしめる。 蒼さんの柔らかい香りが胸いっぱいに広がる。 「心配はいらないですよ。」僕は蒼さんだけだし。 「ほんと?」 そう言いながら、蒼さんの手は僕の体をゆっくりとまさぐっている。 最近多いな。求められること。 蒼さんてスキンシップが大好きだ。 ハグも好きだし、エッチも…。 でも、僕も知ってしまった。 好きな人とするのって、なんでもとっても気持ちいい。 はじめて思った。 あぁこのまま溶け合えたらいいのに、って。 でもどこかの歌に合った。 『別々の体だから、愛し合える』って。 じれったいくらいもっとくっついて、もっと一緒になりたい。 こんなに求められるのも、こんなに求めてしまうのも、きっと蒼さんだから。 はむっ。 蒼さんが僕の肩をかむ。 「あぁ…っ!」僕のとは思えない恥ずかしい声が出る。 蒼さんの吐息が、やばいくらい熱く感覚をおかしていく。 「なおと…」 —蒼の気持ち— ごめんね全部ほしくなってしまう。 俺ってこんなに余裕なかったっけ? 最近直人に触れると、セックス覚えたての高校生みたいに盛ってしまう。 かわいそうなほど切なそうに鳴く直人にどんどん欲情して、 全部吹っ飛ばして俺のを直人に突き立てて、めちゃくちゃにしたい。そんな気持ちと、直人をよくしてやりたくて、直人の様子が気になって、やさしく丁寧に隅々まで愛してやりたい気持ちとがせめぎあう。 どうしたらいい?直人に懇願してほしくて、いろいろ確かめたくなってしまう。 言葉で責めたらひかれるだろうか?でももう我慢できない。直人が恥ずかしがること言ったり、直人が喜ぶことを考えたり、ごちゃまぜの気持ちのまま直人を揺さぶる。 「直人のすごいよ、恥ずかしいねこんなにして」 今日はなんだか抑えられない、気持ちが高ぶっているせいだ。 「あぁ 肌もピンクになってきた、だらしない顔して、そんなに欲しいの?もっとっておねだり出来たら直人の好きなこと全部してあげるよ」 ハハ…。俺何言ってんだ。 その瞬間、 「あ、…あお…。もっと…もっといっぱ…い…。」 直人が溶けた目で俺を見た。 俺の中で何かがはじけた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

170人が本棚に入れています
本棚に追加