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飲み会が楽しみで、仕事もはかどる。僕は単純だ。 「今日は楽しそうね。」飲み会当日。退社間際に田中さんに言われて、 ちょっと浮かれているのが恥ずかしくなった。 「もう ほんとかわいんだからぁ」ほんとに僕は田中さんのいいおもちゃだ。 そんなやり取りをしてると 「二人とももういける?」と間宮さんが声をかけてくる。 「はい」 僕はそう答える。 「蒼ももう行けるの?」 「うん。一緒に行こうかと思って、あと施錠。」と言ってカギを見せてくる。 「よしじゃぁいこっか」 そんなやり取りをしている二人を見て思う。 もしかして、間宮さんは田中さんを迎えに来たのかな…。僕お邪魔だったかな? 「カンパーイ」 ホテルから歩いて行けるくらいの居酒屋さんの2階を貸し切って、宴会は始まった。 あまり接点のない人もいるけどとても楽しい雰囲気だった。 1時間もしないうちに、自然と間宮さんの周りの席は女の人たちで埋まっていた。さすがとしか言いようがない。 僕の周りでは、パートの皆さんがお酌をしてくれている。 「おばちゃんのお酌でごめんねぇ」 「いやいや、ありがとうございます。」 「普段はあんまり顔見ないけど、かわいい顔してるのね?」 そういう、パートさんに 「そうよぉ、日置君は、広報の…いや私のかわいいワンチャンなんだから」 と少し酔った田中さんが割って入ってきた。 「あらぁ もう薫ちゃんのお手付きなの?残念」 「ううん。まだ手は出してないはわよ。かわいいかわいい弟みたいなもんだし」田中さんとどうこうなりたいわけじゃないけど、やっぱり田中さんにとって、僕はそういう存在だと認識した。そして、犬から人間に昇格できてよかったとさえ思った。 そんな僕の頭を、よしよし と田中さんは撫でている。 「日置君うらやましすぎるぞ」という声もちらほら聞こえてくる。 まぁ 田中さんはいつもより砕けた感じだし、これも悪くないけど、経験に乏しい僕には、ちょっと刺激強すぎかも… そんな感じにちょっと対応に戸惑っていると 「田中 酔うにはまだ早いぞ」 とヒーローのように間宮さんが現れる。 「もう、また蒼かぁ。邪魔しないでよぉ」田中さんは、間宮さんに悪態をつく。 「せっかく日置君の親睦会だから、俺も日置君とお話したいんだよ。」 そういって、僕と田中さんの間に『よいしょ』と腰を下ろした。 「みんなも日置君に聞きたいことあるんじゃない?」 突然俺への質問コーナーが始まった。 「なんでも聞いていいの?」そう言ったスタッフさんに 「困らせない程度にね。」となぜか間宮さんが答えた。 「お お手柔らかにお願いします」 僕も申し訳程度にお願いした。 思ったよりもみんなが僕に興味を持ってくれて驚いた。 菰田さんに引き抜かれてきたことを知らない人もいたみたいで、その辺も いろいろ聞かれたりで、俺の周りは少しにぎやかになった。その様子を、間宮さんはにこやかに見守ってくれている。
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