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しばらく、部屋でボーっとしてたけど、悲しくなって、蒼さんに会いたくなる。 僕、嫌われたのかなぁ? 田中さんと仲良くしすぎた? 若いバイトの子みてたら、やっぱり女の子が良くなった? マイナス思考に取り込まれそうになって、僕は立ち上がる。 蒼さんに会いたい。 以外と行動力のある自分に驚きながら、僕は合鍵をもって、蒼さんの部屋へ向かった。 合鍵をもらっておいてよかった。 チャイムを押しても出てこない。 まだ帰ってないのかな? そろそろ定時だろうに。 もしかして、誰かと出かけた? 考えたくない。 僕彼氏だし、合鍵あるんだし、入っていいよね? 誰にともなく言い訳をして、鍵を開けて部屋に入る。 玄関から蒼さんの香りに包まれる。 「お邪魔します…。」 明かりをつけて、リビングにたどり着く。 とりあえずソファーに座ってみる。 蒼さんの香りが胸いっぱいになって、涙がこぼれる。 しばらくして、僕は眠ってしまっていた。 ―広報部― 「おつかれ」 蒼が珍しく用もないのに顔をだす。 「お疲れ様、何?」 わざと冷たくしてやる。 わかってんのよ。透かした顔して。 自分の気持ちを満たすためだけに、私のかわいいワンちゃんを泣かせやがって。 愛されてるってわかってるなら、それでいいじゃない。何をたしかめたいのよ! 「なおとは?」 ほらご覧なさい。 そんな顔するくらいなら直くんを試すようなことするんじゃないわよ! 「もう帰ったわよ」極力冷たく言う。 「そうか」クールぶりやがって。 「これ以上ないってくらい悲壮な顔で思い足取りで帰っていったわ」思い知れ! 「‥え?」 焦ればいい、自分がしたことをくいることね。 きっと直くんは許してくれる。蒼を責めたりしない。ましてや試されたことにさえ気づかないでしょうね。 でも、あんたは振られたらいいとまで思ってしまう。 「なんのつもりか、なんのスイッチが入ったのか知らないけどさ、舐めてんじゃないわよ!」 思わずちからがはいってしまう。 「直くんには、あなたしかいないのよ。それをもっと愛してほしいとか?自分ばっかりヤキモチ焼いてとか、それじゃ面だけがいいダメ男と一緒じゃない!」蒼は何も言わない 「大事なのは、愛されてるかよりどれだけ愛してるか、ってこと。きっと直くんはあなたを愛してるから、今頃あなたになにかしてしまったんじゃないかと悩んでるでしょうね。でもあの子はあなたみたいに回りくどいことはしない、きっと泣いてわびて真正面からあなたにぶつかってくるでしょうね。あなたはそれを受け止めることができるの?」 そうよ、受けの気持ち舐めんじゃないわよ。 「直くんにもそうだけど、私をがっかりさせないでちょうだい」 はっとした顔で私を見る。 「私だってあなたたちのこと大好きなんだから」 こんなに歪んだあなたの顔は、初めてね。 「一旦家に帰ってしっかり反省するのね」 そう言って彼を追い返す。 はぁ ほんとに、私っておせっかいね。 さぁて私もことやに会いたくなっちゃたなぁ。 電気を消してとびきりかわいい声の準備をする
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