田中の彼氏ですが

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「カオル」 「道也(みちや)」 ホテルのロビーにつくと、 カオルが立ち上がって俺の声にこたえる。 「ども」 まだ、そこにいた日置君も俺を見た。 「どうも」 「直君初めてだよね?」 穴が開くほど俺を見ている日置君に、 カオルは嬉しそうに聞く。 「は、はい」 なるほど、これはカオルのいいおもちゃだ。 そう思わせるほど日置君の表情はころころ変わる。 「初めまして、カオルの彼氏の道也です。 いつもカオルがお世話になっています」 「は、初めまして。部下の日置です」 小柄な日置君は俺を見上げながら、 俺が差し出した手に握手を返してきた。 うわ…、手もちっさい。 「カオルと仲良くしてくれてありがとうね。 カオル怖くない?」 俺がいたずらっぽく聞くと、カオルはほほを膨らませる。 「い、いえ、ホント良くしてもらってます」 「だよね?私直君にとっていい上司よ?」 「はいはい」 俺の肩をたたくふりをするカオル。 その様子を日置君がじっと見ているのがわかる。 「直君、私このまま直帰するから」 その視線に気づいたのかカオルがそう告げると、 「あ、はい了解です。」 日置君はそう言ってから、俺たちに頭を下げる。 「では、失礼します。」 「お疲れ様」 俺も軽く頭を下げた。 「ほんとかわいいね」 「でしょ?あ、でもダメよ。」 ちょっとやきもちを焼いているのか、カオルが上目遣いで俺を見る。 「いや、俺はカオルしかダメだから」 そう言って少し周りを見た後、 カオルの手の甲にキスをおとす。 満足そうに目を細めてカオルがほほ笑む。 「カオルを堪能したいけど、まずは食事かな?」 俺の問いかけに嬉しそうに笑う。
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