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「あ 彼女いますか?」突然の質問に止まってしまう。
「え?あの…い、いません」
「マジで?」
「どんな子が好きなの?」
こういう話、女子の食いつきはいい。
「どんなって…」ふと視線を感じてそちらを見ると、間宮さんと目が合う。
でも、すぐにそらされた。
「俺が知ってる、日置の元カノは、おねーさんタイプのショートカットの子だったよ。」なぜか菰田さんに、カミングアウトされる。
慌てて顔が熱くなる僕にお構いなく話題が独り歩きする。
「へぇそうなんだ。」
「でもなんか想像つくよね」
「なんか日置さんかわいいもん。」とみんなが口々に言ってくれる。
「ほんとにな、弟みたいっていうか、田中さんのペット的な?」
と男性社員まで出てきて、いつの間にか、いじられキャラになってきた。
気になって、間宮さんのほうを見ると、何やら田中さんと話しているみたいだった。ちょっと気になってしまう。
「私もあと20歳若かったら、日置君の彼女に立候補できたかしらねぇ」
「今でもまだいけるっしょ?」とパートさんも交えて僕の周りは盛り上がる。
「あ あの僕ちょっとお手洗いに…」
なんか恥ずかしくなって席を立つ。
洗面所で少し顔を洗って、席に戻ろうとしたとき。喫煙スペースに見知った二人の影を見つけて、思わず柱の陰に隠れてしまう。田中さんと、間宮さんだ。なぜかくれたのか自分でも謎だけど、意図ぜず2人の会話を聞いてしまう。
「久々に楽しそうじゃない。飲み会で自分から話題作るなんて」
「そうかな?」
「日置君のことずいぶんかわいがってるみたいだからさぁ」
僕の話だ。
「お前に言われたくないよ」間宮さんが煙を吐く。
「せっかく菰田さんがひっぱって来てくれたんだし、せっかくならここで長く働いてもらいたいじゃん?菰田さんにとってもそのほうがいいだろうし。お前もいい部下手放したくないだろ?」そんなふうに思ってくれてたんだ。やっぱり、すべてにおいてイケメン過ぎて、何も勝負してないけど敗北感が半端ない。
「それに“お気に入り”っていうなら、お前のほうが日置君のことかわいがってるじゃん。」
「当然 だってかわいいんだもん」
「だもんって… まぁあんまりやりすぎるなよ。彼ほんとに純粋そうだし」そう言った間宮さんに、田中さんが怪しくほほ笑む。なぜか俺はきょどってしまう。
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