「変わらないね」

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 高校時代の美咲は、まさにクラスのアイドルみたいな存在だった。  今日は、フワフワした髪をハーフアップにして、可愛らしい小花が散りばめられたバレッタで留め、淡いピンク色のワンピースに白いボレロを羽織っている。  まるでおとぎ話の中のお姫様みたいだなあ……。  自分の前に立った美咲のことを、わたしは呆然と見つめた。  付け焼刃のようなわたしとは、やっぱりちがう。 「そんな、カレシなんて……全然だよ」  美咲になんとか答えを返しながら、グラスを持つ手にギュッと力が入る。  たまたま聞いてしまったんだよね……美咲が、わたしみたいな地味女子と仲よくしてくれていた理由。 ***  昼休みにお手洗いに行こうとして、中から聞こえてきた話し声に、わたしはその手前で足を止めた。 「美咲ぃ、あんたほんと懲りないよね」  同じクラスの吉岡さんがため息まじりに言う。 「え~、なにがぁ?」 「小森さんだよ。クラスで浮いてる子に声かけて自分の引き立て役にすんの、ほんとやめな」  小首をかしげる美咲に、吉岡さんが諭すように言う。 「別にいーじゃない。沙智だって、ひとりじゃ寂しいだろうし。わたしが友だちになってあげたら、ちょっとでも学校来るの楽しみになるでしょ?」 「ったく、そういうこと、自分で言うかね」 「だって、正直なところがわたしの長所だもんっ」  うふふっと美咲が笑う。 「で? 肝心の朝井とはどうなの?」 「う~ん、それがさぁ。全然わたしに興味持ってくれないんだよね、朝井くん。たまぁに朝井くんと沙智がしゃべってるの見てたからさ、わたしが沙智の友だちだってわかったら、ちょっとはわたしのことも見てくれるかなぁって思ってたのに、完全にアテが外れちゃったぁ。もう終わりでいいかなー、沙智との友だちごっこ」  そう言って、大きなため息をつくと続けて言った。 「だいたいさぁ、いっしょにいても、全然楽しくないんだよねー。『わたしなんか』みたいなネガティブなことばっか言ってさ」

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