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本棚に追加 高校時代の美咲は、まさにクラスのアイドルみたいな存在だった。
今日は、フワフワした髪をハーフアップにして、可愛らしい小花が散りばめられたバレッタで留め、淡いピンク色のワンピースに白いボレロを羽織っている。
まるでおとぎ話の中のお姫様みたいだなあ……。
自分の前に立った美咲のことを、わたしは呆然と見つめた。
付け焼刃のようなわたしとは、やっぱりちがう。
「そんな、カレシなんて……全然だよ」
美咲になんとか答えを返しながら、グラスを持つ手にギュッと力が入る。
たまたま聞いてしまったんだよね……美咲が、わたしみたいな地味女子と仲よくしてくれていた理由。
***
昼休みにお手洗いに行こうとして、中から聞こえてきた話し声に、わたしはその手前で足を止めた。
「美咲ぃ、あんたほんと懲りないよね」
同じクラスの吉岡さんがため息まじりに言う。
「え~、なにがぁ?」
「小森さんだよ。クラスで浮いてる子に声かけて自分の引き立て役にすんの、ほんとやめな」
小首をかしげる美咲に、吉岡さんが諭すように言う。
「別にいーじゃない。沙智だって、ひとりじゃ寂しいだろうし。わたしが友だちになってあげたら、ちょっとでも学校来るの楽しみになるでしょ?」
「ったく、そういうこと、自分で言うかね」
「だって、正直なところがわたしの長所だもんっ」
うふふっと美咲が笑う。
「で? 肝心の朝井とはどうなの?」
「う~ん、それがさぁ。全然わたしに興味持ってくれないんだよね、朝井くん。たまぁに朝井くんと沙智がしゃべってるの見てたからさ、わたしが沙智の友だちだってわかったら、ちょっとはわたしのことも見てくれるかなぁって思ってたのに、完全にアテが外れちゃったぁ。もう終わりでいいかなー、沙智との友だちごっこ」
そう言って、大きなため息をつくと続けて言った。
「だいたいさぁ、いっしょにいても、全然楽しくないんだよねー。『わたしなんか』みたいなネガティブなことばっか言ってさ」

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