第一話

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「うん。行こう。先生、ちょっとラキエスを借りていきますね」 先生と呼ばれた叔父は、短く「うむ」とだけ答えた。二人は木陰へと歩く。 「メイグは、まだ叔父さんから稽古をつけてもらっているのか。鍛錬なんて必要ないだろう」 「体を動かすのが好きなの。それに、強くなる義務があると思う。一国の姫として」 お堅いな、とラキエスは笑い、腰掛ける。メイグも隣に座った。 「それで? 話っていうのは何?」 「うん。二ヶ月後に聖剣祭があるでしょう」 「ああ。そんなのあったな」 「その時、わたしが聖剣を引き抜く役割を担えるように、口添えしているところなの」 聖剣ーー水の剣は柄が液体になっていて、王族にしか握ることはできないとされている。メイグは水の剣を握ることが可能な数少ない人間だ。
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