冬の花

5/13
前へ
/13ページ
次へ
 結局、成績は良かった。  特に、数学。苦手教科なのに、良い評価をもらえたことに驚きだった。もしかしたら、数学の先生が私のことを贔屓(ひいき)してくれているのかも知れない。  ということは、先生は私のことが好きだということ? 先生と付き合ってみる? しかし、先生は四十代ハゲ。 「いや、ないわ」 「何独り言言ってんだよ」 「え? あ、なんでもない」  声をかけてきたのは、私が通知表を受け取り終えて次の人が受け取っているところで、またそのうしろに並んでいる、園田風太(そのだふうた)だった。 「どうせ成績良かったんだろ」 「ううん、そんなことないけど」 「俺なんて『2』が五個くらいあるよ、多分」 「ふーんそうなんだ」  彼は少しヤクザ感がある。あまり関わらない方が吉だ。  まあ、五段階評価で『2』がつくこと自体まれだが、彼ならありえないことではないだろう。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加