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「好きな人でも、できた?」
彼女は首を横に振った。
付けっ放しの換気扇の音が、今日は妙に耳につく。安アパートだから仕方ないけれど、こんな時くらい静かにしてくれよ、と思った。
彼女には何度か伝えたがどうしてもそれだけは忘れてしまうようで、いつもは食事を終えた僕がこっそり止めているのだ。
その癖は今日も変わらないというのに、目の前の彼女と僕の関係は、今日で変わってしまうのか。
「そうじゃないの。ただ、会ってもゲームしてばっかだったり、ゴロゴロしてるだけだったり。そういうの、このまま続けてていいのかなって考えてたら、好きかどうかわからなくなってきちゃって」
確かに彼女の言う通り、二人で会ってすることと言えばゲームしてダラダラして。
最近デートに出掛けたのはいつだっただろう。
二人でいる時間を二人のものとして楽しもうという意欲は、こうして振り返って初めて、付き合い初めの頃に比べれば見るも無残に激減していたのだとわかった。
それでも彼女が文句を言ってこないことで、そんな付き合い方でも僕と同じように居心地よく感じてくれる人なのだろうと思い込んでいた。
一緒に行く場所がスーパーやドラッグストアだけじゃ、だめだったなんて。
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