2.落とし物

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夕暮れが迫り、辺りは暗くなり始めていた。 そのせいか正面入り口の照明がキラキラ光って見えた。 ホール入り口の十メートルほど前で深呼吸をする。 この何とも言えない空間。 満足感と感動を予感して鼓動が早くなる。 歩みが遅くなったため、数名の人たちが私を追い越していく。 彼らも今夜の演奏会を鑑賞にきた定期会員のメンバーだ。 連れ立って歩く人もいるけど、ほとんどが私のように一人で歩いてる会員だ。
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