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BGMのように流れていた『ムーンライト・セレナーデ』が聴こえなくなった。
彼は私の質問に答える気がないのか、手にしてるスマホを操作している。
「あの……どうして……」
「コンサートの友は思い出としてとっておきましょう」
思い出？
首を捻った。
彼が顔を上げた。
「僕が提案したのに一方的にその約束を破りました。みのさんが診察に来たときに、正直に言うべきでした」
「ええ、そうしてくれたら……」
恐らく、色々違ってたでしように……と少しばかり咎めるようにしげしげと彼を見た。
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