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ちょっと強引で意地悪な言い方かなと気になったが、今彼にしてほしいのはアンナが言ったこと。
つまり、例の告白の話を忘れてほしい。
渋い顔になった彼が、ゆっくりと言った。
「努力はしますが、残ってしまった記憶を完全に消すのは相当難しいかと」
『記憶喪失になりたい』と環ちゃんに言ったときの自分が目の前の彼と重なった。
「そうですね。すみません。言ってみただけです」
苦笑いすると、彼は爽やかに微笑んだ。
「みのさん、これからの話をしませんか?」
室内さんという本名が判ったのに、彼の声も顔つきもカノンさんのままだ。
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