1. ランチタイム

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「ううん、そうじゃない。踏んだの、思いっきり足を」 朝の光景が(よみがえ)った。 新宿駅から赤坂見附までの間。 その不届き者は十分足らずの乗車時間の間、こちらが声を出さないことをいいことに、その行為を続けてきた。 何度もその手をバッグで押しやったが、止めずに続けた。 満員で身動きが出来ない車内。 当然のごとく立ってる位置を変えることは不可能だった。 帰りの電車では何度も痴漢にあったが、朝は初めてだった。 きっと、朝だったからに違いない。 堪忍袋の緒が切れたのは。
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