一人ぼっちのサンタクロース

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「やっと見つけたわ!どこに行ってしまったのかと…!」 少年の姿を見つけた母親が駆け寄る。 その母親の服装も粗末なものだった。 「あなた、どうしたの!?その上着は…」 母親の驚いた表情。 「母さん……うわぎ??」 見ると、老人が自分の肩に掛けてくれた上着が自分に丁度良い大きさに変わり、いつの間にか身に着けていた。 今降りしきる雪のように真っ白な、暖かい上着。 「…大荷物を持ったおじいちゃんがくれたんだ…。ぼくがお手伝いをしたおれいだよ、きっと。」 「いけないわ!こんなに良い上着を…!その方はどこに!?」 「…いつの間にか、きえちゃった…。前に聞いた『まほうつかい』みたいだった…」 「…。」 母親は少年を抱き寄せて空を見上げる。 空から白い雪が降り続く。 静かなその中で、微かな鈴の音が聞こえた気がした。 「…クリスマスだったのね……」 母親が呟く。 「あのおじいちゃんもそう言っていたよ。クリスマス、ってなんだろう?」 少年の言葉に、母親は彼を抱きしめたまま言った。 「良い子にしていると奇跡が起きる日、それが今日なの。…あなたにも奇跡が起きたのね…。今日はお母さんのお仕事がうまく行ったの。もう少ししたら、ちょっとだけでも暮らしが楽になるわ。そうしたら、もっとあなたと一緒にいられる時間ができるはずよ…!」 「そっか。よかった!母さんがうれしそうで、ぼくもうれしい。」 親子は微笑み合った。 「帰りましょう、お家へ。」 深々と降る雪の中を、親子は寄り添い歩く。 それを見守るように、小さな鈴の音が微かに鳴り響いていた。
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