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色素が薄く白い肌に、顔立ちはどちらかと言えばエキゾチックと形容されることが多い。特に灰色の目と、赤みがかかった茶色の髪色は、確かにどう見ても『純日本人』には見えないのだろう。
だが私は普通に日本で育ち、英語や多言語に触れる機会が全くなかったお陰で当然日本語しか話せない。そもそもパスポートすら持っていない。
もう社会人に成り立てとは違い、今は少し余裕の出てきた頃だし、そろそろ英会話とか、何かを始めてもいい頃なのかもな……と、そんな事がふと思い浮かぶ。
そのままホームにやってきた直通の電車に乗って、私は自分の家へと向かう。
ここから電車で四十分。神奈川の郊外に私の家がある。
そこは見るからに住宅だけが並ぶ『ベッドタウン』であり、特に何か有名なものや名物があるわけではない。
何もないけど、小さなショッピングセンターや、そこそこ広いスーパーなど生活に不自由しない程度の店があり、暮らしていくには十分な街だと思っている。
最寄駅から徒歩十分。
小さな畑も点在するような場所に、ひときわ目立つ場所がある。
レンガの外壁の上にはお洒落な模様のロートアイアンフェンスが連なり、その奥には西洋風の建物が建っている。この小さな洋館のような家──これが私の家だ。
(……あれ?)
門を開けようとした所で気付いた。
家の奥から、微かな光が漏れていたのた。
(嘘?!何で!)
私はガチャンと思いっきり門を開ける。
そして走って家の中へ入る。
まさか、とは思う。
そしてリビングに足を踏み入れた所で、そのまさかの人が立っていた。
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