箱庭の行方

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しばらく歩いていると、彼女の知り合いらしき人が「HEY!」と話しかけてくる。 「彼女は誰?」 「客人よ、カブラギ レイジの妻」 「君の親戚かと思った」 その人が行った後、ぼそっと「In a sense, that's right.」ある意味正解だと言ってクスりと笑った。 「私があなたのことを知ったのは、随分と後だった。レイジがユカリと一緒に暮らしていると聞いて、その時にあなたのことを知った。ユカリがレイジの先生だったことも初めて聞いたの」 私を見つめると「一度会いたかった。でも会えないと思っていた」と、目を細めた。 「でもあなたは、私を恨んでますか?」 私は──彼女に恨まれても仕方がないと思っている。 「私が産まれるから、母は日本に帰った。あなたを残して帰った」 そう言うと口角を上げてこう言った。 「あなたこそ私のことをどう思う?」と。 「父の絵を守るために、彼を利用したの。後悔はしてない。だけど死ぬまで恨まれても仕方ないわ」 「あなたは本当に………」 きっぱりと彼女は零ちゃんのことを"利用した"と言い切っている。 でもそれ以上に言葉が出てこなくて、詰まった。
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