始まりはミナソコから

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元々社長夫人になれると唆して結婚したものの、結局会社は畳まれて当てが外れた。その事を喚いていたらしい。 それが叔父に対しての我が儘を助長させていた。 「だから何度も言ってるでしょ。あれは正真正銘ガラクタ"だったもの"よ。私が手を加えたから売れたの。いい加減にしてよ」 その日は珍しく叔父だけでなく、あの人も一緒に来ていた。 いつも母は言葉遣いは良くない方だが……いつも以上に棘のある言い方で、二人に怒鳴り返していた。私はそれを、リビングのドアの外から聞いていた。 「この家は私が貰うって約束だったよね?あんたは一切介護費用払ってないじゃん。請求しないからお金は二等分って約束だったよね?」 「だから姉さん、ここを売れば大規模マンションに…」 「あんたは親が意地でも残した家を易々と売るつもりか!」 次第にヒートアップしていく戦いに嫌気が差して、二階に上がっての自分の部屋に閉じ籠もった。 閉じ籠っても、まだ三人が争う声がドアから漏れていた。 あぁもう警察呼んじゃおうかな…と、思っていた、その時だった。 (……えっ?) ガシャンと大きな音がした。 何かが大きく割れる音。 慌てて階段をかけ降りると、そこで目にしたのは大きな陶器の破片。 鋭い破片が、粉々になって飛び散っていた。 そして──頭から血を流して倒れている、母の姿だった。
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