6.無駄な自信と天狗

5/8
前へ
/35ページ
次へ
「意味なく強気で、でも肝心なところでは腰砕けで、意地だけは一丁前で、なかなか気持ちをきちんと言えない、こんな私だけど、」 息を深く吸った。 一世一代だ。 「離さないで、離さないから。私と結婚してください。希彦、一生一緒にいよう。」 ものすごい力だった。頬っぺたがつぶれるくらい胸に抱き寄せられた。 「ありがとう。絶対に離さない。」 確かな鼓動が押し付けられた耳に響く。この人が生きていてくれて本当に良かった。私を見つけてくれて、信じられない道を開いてくれたこの人を一生幸せにする。何があってもなくても。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加