6.無駄な自信と天狗

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唇を離すことが出来ない。 もうどれくらいの間立ったままキスを交わしているのだろう。好きが止まらない。だからキスが終われない。深くなってまた浅くなる。 「好き。」 合間に囁くと、ちょっと空気が揺れて口角が上がったのがわかる。何度も唇同士で触れ合っていると、嬉しくて笑いが込み上げて来た。 「うふ。」 こらえきれずに希彦に息を吹きかけてしまった。 「何?」 濡れたような声が耳を覆う。その熱がうつる。 「好き過ぎて、どうしたらいいかわからない。」 1ミリも離れていない口に向かって言う。 「可愛いな。」 やっぱりこんな時でも余裕を見せるのは、男だからだろうか。そしてまたすぐ唇が寄せられた。好きなんだから。好きなんだって。もうどうしたら良いかわからないくらい。 「ヤバい、キスだけで飛びそう。」 もしかしたら希彦も同じくらい感じてくれているのかな。だとしたら嬉しい。 「感じてる?」 よせばいいのに訊いてみた。 「ヤバいくらい。」 上ずった声が下腹部を直撃する。 「希彦が欲しい、かも。」 「かも?」 うん、だって恥ずかしい。 「俺、夫とかになるのに?」 とかって何?そう言いながらまたキスを贈る。 「やっぱもう限界。」 そう言って希彦は私の手を引っ張った。ベッドまではわずか数歩だ。
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