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唇を離すことが出来ない。
もうどれくらいの間立ったままキスを交わしているのだろう。好きが止まらない。だからキスが終われない。深くなってまた浅くなる。
「好き。」
合間に囁くと、ちょっと空気が揺れて口角が上がったのがわかる。何度も唇同士で触れ合っていると、嬉しくて笑いが込み上げて来た。
「うふ。」
こらえきれずに希彦に息を吹きかけてしまった。
「何?」
濡れたような声が耳を覆う。その熱がうつる。
「好き過ぎて、どうしたらいいかわからない。」
1ミリも離れていない口に向かって言う。
「可愛いな。」
やっぱりこんな時でも余裕を見せるのは、男だからだろうか。そしてまたすぐ唇が寄せられた。好きなんだから。好きなんだって。もうどうしたら良いかわからないくらい。
「ヤバい、キスだけで飛びそう。」
もしかしたら希彦も同じくらい感じてくれているのかな。だとしたら嬉しい。
「感じてる?」
よせばいいのに訊いてみた。
「ヤバいくらい。」
上ずった声が下腹部を直撃する。
「希彦が欲しい、かも。」
「かも?」
うん、だって恥ずかしい。
「俺、夫とかになるのに?」
とかって何?そう言いながらまたキスを贈る。
「やっぱもう限界。」
そう言って希彦は私の手を引っ張った。ベッドまではわずか数歩だ。
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