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弥生は自分のスマホが壊れた次の日、バイト先に来た真に自分のスマホが壊れたことをそれとなく話した。
「これ、壊れちゃったみたいなの……。無いと困るし、今日にでも買いに行こうと思ってるんだけど、今のスマホ、どれを選んでいいのかわからないのよね」
「それでしたら、ついていきましょうか?ショップ、この近くですよね?今日はバイトの上がりの時間も高村さんと一緒ですし、ご迷惑でなければ行きますよ」
「ええ……、でも……」
少し困った表情をして、自分のニヤケ顔を塗りつぶした。
弥生のその表情を見て、少し困った顔をする真の顔が子犬みたいに見える。
『おあずけ』をされて困った表情をする真の顔が、かわいくて仕方が無い。
「じゃあ、お願いしようかしら」
その言葉の後、真の表情は先程までの顔が嘘だったかのように明るくなった。
その時も、彼の頬は薄桃色の花を咲かせていた。
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