35人が本棚に入れています
本棚に追加
22
「旦那様と同じ機種なんてどうでしょう?」
ショップの店員にそう言われ、驚いた。
なんでこの店員が洋介のことを知っているのだろう。
くるくるしたパーマを当てている店員の顔を見ながら、弥生は自分の頭の中の記憶を探る。
しかし、該当者が居ない。
首を傾げていると、店員が隣へ視線を移した。
「旦那様の機種、最近出たばかりのものですよね」
旦那と間違われていたのは、真だった。
目を丸くさせた真は「違いますよ」と言って笑った。店員は「失礼しました!」と言い、マズい事を言った、という表情を一瞬見せた後、直ぐにその顔を作り笑顔で塗りつぶした。
「こんな若い子と付き合えるなら、嬉しいわよ」
つい口をつついて出た言葉に、ハッとする。
内に秘めている思いが、少しだけ言葉になって漏れ出してしまったようだ。
弥生は伸びをするフリをして、真へと視線を移す。
薄桃色の頬が、こちらを見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!