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店を出ると、時間は十六時を回っていた。
弥生が選んだスマホは、運のいいことに在庫がその場にあった為、持ち帰ることが出来た。
契約した会社のロゴの入った手提げ袋が少し重い。
中にはスマホの本体と付属の充電器と細かな部品。そして、ブ厚いマニュアルが入っている。
弥生は不安を覚えていた。
最新機種のスマホを自分が使えるのか心配なのだ。
かと言って、ネットで調べて覚えるのができるかというと、自信がない。
『誰かに教えてもらうしか無い』
免罪符のようなその言葉を手に入れた弥生は、ショップの前に停めた自分の車に乗り込む。
真は乗り込まずに外で笑顔で立っている。
「真君、送るわよ」
「いいんですか?」
「いいわよ、アパートはどの辺なの?」
「このショップ出て坂道下った先のアパートです。近いですし、いいですよ。歩いて帰ります」
「なんだ、通り道じゃない。遠慮しなくていいわ。それに、聞きたいこともあるし」
「じゃあ……、ありがとうございます」
真を乗せてエンジンを掛け、車を駐車場から出すと、ハンドルを自分の家に向かう方向とは真逆の方向に切った。
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