まるでクレオパトラのような恋

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「なんだか、寂しくて」  項垂れると、背後で毒々しい声が聞こえた。 「かわいそーだよな、おまえ」 「え?」  振り返ると、椅子の背に大きくのけ反り、人を思い切り見下したような眼差しを向けるクラスメイトがいた。 「成見っ」  成見は入学当初から、なにかと悪態ばかりついてくるヤツで、もうすでに犬猿の仲であった。しかもよりによって真後ろの席だ。 「あんたには関係ないでしょ。ってか、聞いてたの?」 「あんなでかい声でしゃべってたら、聞きたくなくても聞こえるんだよ」 「そんなに大きい声でしゃべってなかったでしょ。どうせ成見が聞き耳たててたんじゃない、面白がって」 「面白がってたわけじゃねえけど。あ、いや面白かったな。ある意味で」 「なによ」 「ほんと、かわいそーだなーと思って」 「なによ、かわいそうって」 「おまえさ、それじゃあ二人とも一生そばにいてくんなきゃ嫌だってことだろ。そんなんじゃおまえ、一生結婚出来ねーな」 「違う、そういうわけじゃないから」  真羽が言うと、 向かいにいる萌音が、 「仲良いね~」  紙パックのいちごミルクに手を伸ばし、一口飲むと、
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