まるでクレオパトラのような恋

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「お袋はこの後、知り合いの家に呼ばれてるから出掛けるんだよ。だから、この家にはもう、お前とおれだけになるんだよ」 「だからって、私、まだ……」  友哉は真羽の腕を掴み、ベッドに押し倒した。友哉の顔が次第に近付いて来る。  真羽は目を瞑り、友哉に身を委ねた。  やがて不器用に唇を塞がれる。  ファーストキスだった。  だが……。  友哉が待ちきれないといった様子で真羽の服の上から胸を揉みしだく。  真羽は目を開け、天井をぼうっと見つめた。  違う……違う……。  真羽は、 「ごめん、友哉、私やっぱり」  友哉は胸を揉む手を緩め、そのまま真羽の体から身を離した。 「やっぱり、あいつか?」  真羽は応えられず、 「ごめん……友哉……」  それだけ言うと、身を起こし、鞄を手に友哉の部屋を後にした。 八 (一)  今年のバレンタインは、萌音が友チョコ交換しようと言うので、真羽は久しぶりに手作りした。  登校し、暖房の利いた教室で一息ついてマフラーをほどくと萌音が、 「おはよう、真羽」  と早速小さな紙袋を差し出してきた。「はいこれ。私が作ったの、食べてみて!」 「わあ! ありがとう」
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