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その週の金曜。下校時に真羽が帰宅しようとすると、なぜかスマホが違っていた。
「あれ? これ私のじゃない」
萌音に告げると、
「え? なんで?」
真羽が彼女にスマホを渡すと、彼女は勝手に画面を操作し、
「これ……成見のだ」
不思議そうな顔をした。
「なんでだろう。間違えたのかな。でもそんなはずないんだけど」
確かめようにも、彼はとっくに帰宅してしまっていた。
「電話、掛けてみたら?」
萌音が言い、真羽は「うん、そうしてみる」と受け取った。
躊躇いつつも画面を操作し、自分のスマホの番号に掛けてみるとすぐに留守電に切り替わった。
用件を入れて少し待つがしばらくしてもなんの反応もない。
不安になり、もう一度掛けてみると、
「はい」
応答があった。やはり成見の声だった。
「あ、成見? それ私のスマホでしょ。間違えてるの、気付かなかった?」
彼は少しして、
「ああ……どうする?」
と訊いて来た。
「すぐにでも取り換えたいの。今どこにいるの?」
「家」
「え~」
「週明けでもいいぞ」
「やだ。絶対やだ」
自分のスマホが二日も手元にないなんて、考えられなかった。
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