まるでクレオパトラのような恋

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「じゃあ、交換しに来れば?」 「そっちが、届けに来てよ。間違えたの、そっちでしょ」 「違うよ。それにおれ、困んね~もん」 「ああ~。もう」真羽は苛々しながら、「じゃあ行くから、待ってて」  真羽は萌音に断り、成見の家に行くと言った。  彼女はなぜかニヤニヤしながら、 「いってらっしゃ~い」  と呑気に手を振った。 (三)   成見の住むマンションに辿り着き、玄関の呼び鈴を鳴らすと、彼は面倒くさそうに現れた。 「あ、成見、スマホ交換して!」  スマホを差し出すと、 「ああ、部屋にある」  この男はどこまで人を苛立たせるのかわからない。 「ちょっと、さっき伝えたでしょ。普通、用意しておくもんだと思うけどっ」  大声で怒鳴ると、 「だからさ、おまえ声がでかいんだって」 成見は、真羽の背後にある玄関の戸を閉めた。   勢いにまかせてまた大声を出してしまったと少し反省するが、だがここへ来させたのは成見のほうだ。 「さっさと持って来てよ」  彼は「しょうがねえなあ」と文句を言いながら部屋にスマホを取りに行った。 「ほら」  ぶっきらぼうに渡され、さっさと交換し終えると、
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