まるでクレオパトラのような恋

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「なんで間違えたの?」 「知らねえよ」 「へ?」  わけがわからない。  だが、思い返すと萌音の行動は怪しかった。あまり確かめる様子もなく成見のだと言った気もする。 ――もしかして、萌音ちゃんが?  理解出来ないが、まあ用事は済んだ。 「じゃあ、帰る」  真羽が回れ右をして玄関を開けると、 「ちょい待て、そのまま帰んのかよ」  成見の言葉に、一応振り返る。 「だって、用事済んだし」 「なあ、おまえさ、あのバレンタイン、おれに渡そうとしてなかったか?」  振り向くと、成見は壁にもたれかかり、超がつくほどの上から目線でこちらを見つめていた。 「そんなわけないでしょ」  やはり帰ろうと思い、さっさと背を向けると、 「じゃあ、なんでおれ好みの味にしたんだよ」 「は?」 「あいつが言ってたのって、おれ様の嗜好ドストライクじゃん」 「あいつって、萌音ちゃん?」 「ああ」  「そんなの、萌音ちゃんの好みに決まってるでしょ。本当に、なに言ってんの?」  しかたなくまた振り返ると、
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