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成見ははあっと息を吐いた。
「それってさ、おまえの言うようにしてりゃ、全部彼女なわけ?」
「そうでしょ。それに腰に手、回してたじゃない」
「あいつは、ただのおれのファンなんだよ」
またまた頭に来ることを言う。
「あんた、彼女の気持ちもてあそんでるの? 最低」
「だからさ、その彼女がいると思ってるおまえが、おれにチョコなんて渡そうとしてたんだろ。おまえ、自分のほうが最悪だってわかんねえの?」
「だから、違うって言ってるでしょ」
「相変わらず素直じゃねえな。まあ、素直な女なんて興味ねえけど」
「もういい。今度は本当に帰る」
もう話にならないと思い、再び背を向けると、
「え?」
いきなり、成見が後ろから手を回してきた。真羽は驚いて、
「ちょっと、なにしてんのよ」
腕を引き離そうとすると、抗えない強さで体の向きを変えられ、あろうことかいきなり唇を塞がれた。
「ちょっ、な、なにすんのよ」
手の甲で唇を拭う。
「じゃあなんで、来たんだよ」
「だから、スマホ返してもらうためでしょ」
「おまえ、おれがこの家に一人だって知ってるよな。それでも来たってことは、そのつもりなんだって普通思うだろ」
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