まるでクレオパトラのような恋

49/54

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
 成見ははあっと息を吐いた。 「それってさ、おまえの言うようにしてりゃ、全部彼女なわけ?」 「そうでしょ。それに腰に手、回してたじゃない」 「あいつは、ただのおれのファンなんだよ」  またまた頭に来ることを言う。 「あんた、彼女の気持ちもてあそんでるの? 最低」 「だからさ、その彼女がいると思ってるおまえが、おれにチョコなんて渡そうとしてたんだろ。おまえ、自分のほうが最悪だってわかんねえの?」 「だから、違うって言ってるでしょ」 「相変わらず素直じゃねえな。まあ、素直な女なんて興味ねえけど」 「もういい。今度は本当に帰る」  もう話にならないと思い、再び背を向けると、 「え?」  いきなり、成見が後ろから手を回してきた。真羽は驚いて、 「ちょっと、なにしてんのよ」  腕を引き離そうとすると、抗えない強さで体の向きを変えられ、あろうことかいきなり唇を塞がれた。 「ちょっ、な、なにすんのよ」  手の甲で唇を拭う。 「じゃあなんで、来たんだよ」 「だから、スマホ返してもらうためでしょ」 「おまえ、おれがこの家に一人だって知ってるよな。それでも来たってことは、そのつもりなんだって普通思うだろ」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加